10月17日(日)生産者訪問最終日

日曜という事もあり、普通はお休みの所、エルヴェ・スオーさんが門を開いてくれた。
朝早くTain Hermitageを出発。山道を通ってArleboscへ着くと,
まだ少し収穫の最中らしく
忙しそうに働くスオーさん。私がお会いするのは3回目だが、
あいかわらず優しく誠実な方。
忙しい中仕事の手を止めて、早速テイスティングへ誘ってくれた。

スオー氏のカーヴ

 

スオーさんのところもダール エ リボ同様2010年はいいヴィンテージのようだ。
標高が高いスオーさんの畑は一般的なローヌより3度ほど気温も低く、
収穫も遅い。酸をキープしつつも、熟度が得られる特殊な場所。
この日も、エルミタージュを出たときは雨も降っていたが、8度ほどあったのに、
スオーさんのドメーヌのあるアルルボスクの気温は4度。寒い。

@Rousanne Viognier '10 樽から試飲。
収穫からブレンドされており、ヴィオニエの華やかさ、
ルーサンヌのまろやかさに、10年ならではの酸。おいしくなりそう。

A同上。別の樽より。

B"Lard des Choix"'10/Champs des Libres
グルナッシュブラン
既にトロピカルなグルナッシュらしさが表れているが、
やはりこちらも美しい。

CSt-Peray'10  Roussanne
丸味があってフルーティー。旨味がたっぷり。

DSt-Epine'10
酸がしっかりしていて以前のSt-Epineのイメージよりキレイになった。
10年は2000本ほどしか造れなそうとのこと。

ESt−Epine ’10(プレスのもの)
より構成がしっかりしていて、若干セメダイン香もあり、アンサンブラージュ
するかは年次第、樽次第。今年もまだきめかねているとのこと。

FSt−Epine ’10(プレス No2)
オリが多く、若干おちついていないニュアンス。

GGamay "Souteronne"'10
また発酵中で計4週間マセラシオンするそう。(今15日目)

HGamay'10 (ほぼ発酵終了したもの)

ISyrah’10 Vin de Pays
とてもエレガントで酸がしっかりしている。

JSyrah'10 Vin de Pays用
やや野性的なワイルドベリー的な香り。
アニマリーなニュアンスも。

KMerlot ’10(購入したぶどうで10年より)
前者全てよりさらに色濃く、構成がある。酸はもっとも穏やか。

以上キューヴより試飲

LSouteronne'09
とても凝縮感がある。美しく伸びる酸。これはウマイ!
非常においしくなりそう。

MSyrah'09
ややスパイシーでアニマリー。以前よりさらにキレイに。

NCrozes Hermitage ’Foufounne'09 / Champs Libre 2007年からのキュベで
Rene-Jean の友人の名前。
Rene-JeamのCrozesより標高が高く、300メートル位の場所の畑。
よりエレガントで酸のしっかりした印象。

私 このワイン大好きです

 

OSt-Epine ’09
複雑味があり、険しい山を連想させる男性的なワイン、だがマッチョすぎず
時おり非常にエレガントな印象を受ける。

PSt-Peray  ’09(Rousanne)/ Champs Libres 
まろやかで旨味、少しこぢんまりした印象ながら香りは開いている。

QViognier Rousanne'09 13%
Viognierが少し多いらしい。以前のまったりしたイメージよりやや酸ののった印象。
通常2009のような年、ヴィオニエやルーサンヌは酸の欠如を想像させるが、
彼のワインにはしっかりした酸がある。

※ 今年はCornas(T,Allemand) あたりは、 8月末から収穫したのに対して
スオーさんの所は9月22日からやや遅め、北ローヌは成熟が早かったらしい。
また、もともとシャンリーブルはフランソワ・リボさんが反対していたらしいが、土地、標高の
の違い(シャンリーブルが標高高い)、スタイルの違い、を持たせるので
フランソワさんを説得、醸造もルネジャンはタッチしてない。
そういった違いを持たせる事で、フランソワさんも納得。
今では、彼らのひとつの個性として、ヴァリエーションを豊かにしている。
とシャンリーブル立ち上げ秘話も聞かせてくれた。

最後に’07年のViognier Rousanneを飲ませてくれて、最近のスタイルとの違いを
確認させてくれた。
Rene Jean 同様、最近はとてもエレガントになってきている。
そして、昔のビオっぽいイメージが(仏と日本の違いがあるかも知れないが・・・・)
は無くなってきている。

ジュール・シューヴェ氏を師事するスオーさんが故マルセラピエールの話をしてくれた。
実はマルセルの師がジャックネオポールではなく、
(日本の一部の本にそう書いてある)ネオポールとマルセルはショーヴェ先生
の同期の弟子で、ネオポール氏が本を書いた時にマルセル氏のことを否定的に書いた為、
決別。その後ネオポール氏はワイン造りをやめた。
そして、マルセル氏の偉大さをおおいに語って頂いた。
Rene JeanとMarcel Lapierre氏はあまり接点がないらしいが・・・・。

とにかく、エルヴェのワインはやはりナチュラル・誠実・真っ直ぐな
エルヴェ・スオーさんの人柄がワインにも表れている。
特に美しく伸びやかでまとまりのある酸は、ここ暑いローヌにおいて、
ひとつのオリジナリティーだ。彼のワインは、もっと評価されるべきだし、
我々がもっと伝えていかなければならない!
ただ、酸化防止剤など一切無添加・ノンフィルターの為、日本に来ると少し不安定な表情を
見せるのも事実。今後入荷される新しいヴィンテージ。
今まで以上にきれいになっていたし、あの感じだと日本でも安定した
味わいが保たれることを、想像できるのだが・・・。
まぁ、どうであれ、私は個人的に彼のワインにぞっこんなので、飲むのだろう。

これで生産者の訪問は終了。
マルセル・ラピエール氏の死。
フランス中でのストライキ。
ちょっと複雑で特殊な研修だったが、有意義なものだった。
車での移動で、時間のロスもしたが、伊藤さんと少しお話も出来た。
そんな思いをはせながら6時間ほどかけて、車でパリへ。

伊藤さん車飛ばしてます。窓の外はシャロレー牛

 

20時過ぎようやくパリへ到着。夜のエッフェル塔がお出迎え。
セーヌ河からの夜景がこの”酔っ払い”弾丸ツアーの疲れを吹き飛ばす。

日曜日だった為、勉強できるような店はやっていなく、
伊藤さんの意向もあって再び Le Verre Voleへ
既につかれていたので、軽めに何品かと、ワイン何本かを
飲む。日曜日だというのに相変わらず満席。フランスではありえない2時間(位)制を
取っているようで22Hに空いた席に座る。
その後閉店時間を過ぎてもぞくぞくと入店。一般客もくるが、コンプレ。
ただ、友人・同業などはなぜかこの時間からだんだん集まってきて、
きっと3時・4時まで続くのだろう。
でもこういった”落ち着く場所”があり、同業の方からも信頼のある店だと感じた。

・Saumur ’07 /Dom du Collier 
フコーの息子の作。 シュナンらしい香りながらナチュラル。少し07ロワールらしく、
酸が強いが、シュナンらしいシュナンでナチュラルなワインは今稀少なので、
日本に入ってきてほしい。

・VDF ”Les 4ans”'09/Vini Vini Vinci (ガメイ)
シャブリ付近で新しく始めた生産者(ネゴシアン)。ナチュラルな造りで非常に面白い、
”攻め”のラベルで興味深い。
ガメイらしく果実味あふれるすばらしいワイン。

”攻め”のラベル

・Rouliers ”Cuvee Presse ”(MG) / Benoit Courault
相変わらずフランを超えた果実味を持ったクーローのカベルネ・フラン。
プレスのみを瓶詰めした特別キュベ。ウマイ。

Vosne-Romanee"Suchots"99/Prieure Roch
何と60ユーロで。スショはあまり飲んだ事がなかったので飲んでみる。
素晴らしいいい香りと内向的かつ脳に直接訴えかけるエネルギーは、
パカレさんとヴォーヌロマネのテロワールの仕事。

素晴らしいロックさんワイン

Beaujolais'09/Yvon Metras
最近飲んでいないメトラをチェック、日本で飲むより繊細で開いている印象。
日本では高くなるが、やはり素晴らしい。

St-Jacques aux Poivre Speciale
ナチュラルにオレンジやさんしょうの香りのする、激しく個性的なコショウの香り。
こういった個性をシンプルにうまい食材と
合わせるのはさすが!

サンジャックも新鮮

Carpaccio de Bar
仏ではありえない程新鮮な魚、不思議な草のサラダ付。

プーレ・フリット 
ピリ辛ソースで普通のチキンナゲット。

Boudin Noir avec Pomme Puree
外注もの。なめらかで全く臭みのないブーダン。
柔らかい味でビオワインにはピッタリ。血の味か好きな方にはもの足りないかも・・・

まろやかブーダン

※Le Verre voleでは最近 Bretonへの魚介しか使わないらしい。
シンプルにいい食材とシンプルな調理。
外注メニューも多いがそれもまた絶品。改装して席数が増えた。
そして何よりちゃんとしたキッチンが出来て、(以前は温めて出すだけ風)
本格的な料理を出せるようになった。相変わらず席の狭さは日本では考えられない。
(ほぼ相席)少しポップな席になり、イメージは前の3人だけの味のある店とは異なるが、
相変わらずすごい人気。日本人はもちろん、アメリカ人も多いそうだ。
思ったのは、フランスのお店は、やはり日本でそのまままねはできないと思う。
民族性も違えば、食事、ワインの好みも違う。
お客様の感覚もかなり違って来る。
それでも、やはりパリはいい!
この活気を日本にも届けたい。そして感じたい。
そう思っているのは、私だけではないと思う。

明日は、帰国。
何かしっかり吸収できただろうか?
感じたことは、なんだったのか?
しっかりオザミのスタッフに伝えていかなければ・・・。
責任重大・・・。

 

戻る             次へ